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ディレクションユーザビリティ Edit : 2025.08.12 Update : 2025.08.12
UIコンプライアンスとは?Webリニューアルで必ず押さえるべき実務チェックリストと運用設計。

UIコンプライアンスとは?Webリニューアルで必ず押さえるべき実務チェックリストと運用設計。

UIコンプライアンスとは?

「UIコンプライアンス」は、サイトやアプリの見た目と振る舞いが、法令・業界ガイドライン・倫理基準に適合している状態を指します。単なる法対応に留まらず、以下のような包括的な品質を含みます。

  • 個人情報とクッキーの取り扱いの透明性
  • 誤認を招かない正確な表示(価格・キャンペーン・注意事項)
  • アクセシビリティ(誰でも使える設計)
  • ダークパターンの排除(不当な操作誘導の防止)
  • ブランド・ガバナンス(トーン&マナー、デザインシステムの統一)

重要性が高まる背景は、規制強化と社会的期待の高まりマルチチャネル化による運用の複雑化、そして体験の質がSEO/売上に直結するためです。違反リスクの低減だけでなく、離脱率低下・CVR改善・苦情削減に直結します。


UIコンプライアンスの3層「法令/ガイドライン/倫理」

① 法令遵守(Must)

  • 個人情報・クッキーの同意管理:収集目的の明確化、拒否の容易性、ログ保持
  • 表示義務:総額表示、注記の可視化、広告である旨の明示
  • 未成年保護:年齢制限が必要な商材での年齢確認
  • セキュリティ通知:パスワード条件、二要素の案内、危険操作の再確認

② ガイドライン遵守(Should)

  • アクセシビリティ:色コントラスト、キーボード操作、代替テキスト、フォーカス可視化、モーション軽減(WCAG/JISを目標)
  • プラットフォーム設計原則:Material/Fluentなどに沿った操作一貫性
  • デザインシステム:コンポーネント仕様と文言規約(Voice & Tone)

③ 倫理・ダークパターン回避(Ought)

  • 事実に基づく表現、ユーザー選択の尊重、離脱や解約の容易性
  • プリチェックや紛らわしいボタン配置など誤クリック誘発の排除
免責事項(重要)

本記事は一般的情報であり法的助言ではありません。最終判断は自社の法務・専門家と連携してください。


ありがちなNG UI(アンチパターン)と改善例

1. 拒否が見えないクッキーバナー

小さな灰色リンクで「拒否」を隠し、緑の大ボタンで「同意のみ」は誤誘導。
改善:同一階層・同一視認性で「同意」「拒否」「設定」。目的別にオン/オフ、フッターから常時再設定可能に。


2. 必須/任意が曖昧なフォーム

任意項目の未入力でエラー、説明なしの電話番号必須。
改善:入力前に必要性を明示(必須)。リアルタイムバリデーション、フィールド近くの具体的エラー、収集目的を一文で。


3. 価格の実質表記

小さな但し書きで条件だらけの「実質〇円」。
改善:支払総額・初期費用・月額・解約条件を表で可視化。重要条件はアコーディオンに隠さない。


4. 解約・退会の迷路

ボタンが何階層も奥、文言が分かりにくい。
改善:アカウント設定から2〜3クリック以内。確認画面で失われるデータ/保持データを明確化。


5. モーダル多重とフォーカス喪失

重ねモーダルでフォーカスが飛び、キーボード操作不能。
改善:モーダルは1段まで。開閉時にフォーカスを制御し、Escで閉じられるように。


簡易セルフ診断チェックリスト

内容 詳細
クッキー同意 拒否/設定が同じ視認性で用意され、いつでも再設定できる
価格・キャンペーン 重要条件が1画面で把握でき、脚注に依存しない
フォーム 必須が明確/過剰データを収集していない
アクセシビリティ コントラスト比、キーボード操作、代替テキスト、フォーカス可視化
セキュリティUX 危険操作の再確認、パスワード要件の説明、MFAの案内
ダークパターン プリチェック・隠しボタン・誤誘導がない
変更履歴 UIポリシー/デザインシステムに反映し、レビュー/承認フローがある

リニューアル/改善での進め方

1. リスク洗い出し(Discovery)

内容

計測タグ、フォーム、価格表示、会員導線、広告LPを棚卸し。ユーザーフローごとに「収集→提示→同意→保管→削除」を可視化。

具体例

データフロー図、画面一覧、同意ログの保管場所を明記


2. ルールのシステム化

内容

デザインシステムにUIルールを埋め込む(トークン・コンポーネント・文言指針)。

具体例

コントラスト満たすカラーパレット、同意バナー/価格表/退会フローモジュール


3. テストの二刀流

内容

自動検査と手動検証を併用。

具体例

Lighthouse/axe/Storybook+キーボード操作、スクリーンリーダー簡易確認


4. 品質ゲート

内容

PRに「UIコンプライアンス・チェック」を必須化。デザイン差分(VRT)+チェックリスト通過でマージ。

具体例

GitHub Actionsでaxe実行、VRTのしきい値設定


5. 運用(Run)

内容

リリース後もCMPの同意率・拒否率、苦情件数、離脱を監視。規制変更や新施策はポリシー→DS更新→全画面適用の順で反映。

具体例

ダッシュボード化、リリースノートと変更履歴管理


KPIと効果測定

  • アクセシビリティ監査合格率(自動検出A/AA項目のクリア率)
  • 苦情・問い合わせ率(誤認・表示不備関連)
  • フォーム完了率・離脱率(エラーメッセージ改善の効果)
  • CMPメトリクス:同意・拒否・設定の各比率と再設定率
  • 解約・退会フローの所要ステップ数(3ステップ以内を基準)
  • ブランド一貫性:デザインシステム準拠率、逸脱件数

Nextアクション参考💡

UIコンプライアンスは守りの法対応ではなく、体験品質を底上げする攻めの基盤です。

  • まずは本記事の簡易チェックリストで現状把握
  • リスクの高い導線(価格・同意・解約・フォーム)から優先改善
  • ルールをデザインシステムテストに埋め込み、運用で回す

よくある質問:記事の利用について

本記事の内容は参考情報です。実装前には自社の利用規約・プライバシーポリシー・法務の確認を行ってください。


KOHIMOTOでは、UI監査→設計→実装ガイドまでの伴走支援もご用意できます。課題が見えてきたら、まずは小さな導線から一緒に整えていきましょう。



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編集者:コウ

年間20万人が訪れるKOHIMOTO Laboの 広報・編集・AIアシスタント⛄を担当しています。興味→Web・AI・ソーシャル・映画・読書|テクノロジー × ヒューマニティのpositiveな未来🌍