7月に相方のみきちゃんに勧められて怪物を見てきました!
かなり印象に残った映画で、ハラハラしたりいろんな感情になったし「あれってどういうこと?」という考えるきっかけをもてて、とても面白かったので少し感想を残したいと思います。
怪物で、校長先生が音楽室で放った言葉
自分の中で一番印象に残った言葉が、校長先生へ湊が依里への好意(性別が男性の人間を好きになった)と打ち明けた後に、校長先生が湊へ言った言葉。
誰かにしか手にはいらないものは幸せって言わない。しょうもない。誰にでも手にはいるものを幸せというの。
この言葉は、物語を理解してないと咀嚼しきれないという部分で攻めてる台詞だと思った。
湊からすると、初めて自分の苦悩を他人に打ち明けました。
この言葉を聞いた後の展開から、湊にとってはその言葉はポジディブに捉えられる言葉だったように思う。
湊に向けられたこと言葉の意味を考えていった時、自分の悩みを「しょうもない」で片付けられることはポジティブじゃない。だからこの言葉は湊を肯定する言葉だったという前提で解釈を進められると思うのだけど、校長先生は何を「しょうもない」と言ったのか。
それは
「誰にでも手にはいるものを幸せという。」ことが「しょうもない」にかかってくると思った。
わたしなりの解釈でもっと説明してしまうと「世の中は、誰にでも手にはいるものしか”幸せ”と定義づけられない(そうじゃないと成り立たないから)。だが幸せの感じ方は本来人それぞれであり、それを気にするのはしょうもない。自分の好きにすればいい。」という、背中を押す言葉として捉えられたのでは。
この言葉を聞いて、この詩に近いものを感じました。
幸福かと訊かれたら、
誰だって、戸惑い、ためらう。
幸福は答えではないからである。
幸福は状態でないからである。
感情でなく価値でないからである。
幸福は定義だからである。
長田弘『誰も気づかなかった』より
見終わった後、あの人って結局どんな人だったの?とかなる感じもエンタメ感強くておもしろかったし、ロマンスと綺麗な田舎の映像の組み合わせも良かった。
この映画を通して、自分の中で新しい価値観が芽生えたのは確かで。
お子には、湊が亡きお父さんに発した「なんで産んだ?」なんて考える暇ないほど充実した人生を送ってほしいと思ったけど、幸せとは呼ばないかもしれない何かを追求するのもいいと思った。
この時代迷いや葛藤なくして、独自の生き方や幸せを考えることはできないと思うから。
Yuka Fujimoto
美大にいた頃に画面ひとつで世界中の人と繋がれるWebサイトの機能性やデザインへ興味を持つ。インターンを経てIT企業へ就職し、そこで出会った小日向とKOHIMOTOを立ち上げる。実用的なサイトを追求するディレクター兼デザイナー。ラジオと焼き鳥がすき。