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CULTUREMOVIE Edit : 2023.09.05 Update : 2024.04.04

怪物で、校長先生が音楽室で言った「幸せ」の意味を考える。

7月に相方のみきちゃんに激推しされて怪物を見てきました!
かなり印象に残った映画で、ハラハラしたりいろんな感情になったし「あれってどういうこと?」という考えるきっかけをもてて、とても好きだったので少し感想を残したいと思います。

怪物で、校長先生が音楽室で放った言葉

自分の中で一番印象に残った言葉が、校長先生へ湊が依里への好意がある(性別が男性の人間を好きになった)から幸せになれない、と打ち明けた後に、校長先生が湊へ言った言葉。

誰かにしか手にはいらないものは幸せって言わない。しょうもない。誰にでも手にはいるものを幸せというの。

どの言葉に何の意味がかかっているのか、分かり辛い文章ですよね。
物語を理解してないと咀嚼しきれないという部分で攻めてるセリフだと思いました。

湊からすると、初めて自分の苦悩を他人に打ち明けました。
この言葉を聞いた後の展開から、湊にとってはその言葉はポジディブな言葉だったように捉えられます。

では、この言葉はどういう意味で湊に向けられたのか、、、
その意味を考えていった時、自分の悩みを「しょうもない」で片付けられることはポジティブではありません。なので、この言葉は湊を肯定する言葉だった。
では校長先生は何を「しょうもない」と言ったのか?

それは「誰にでも手にはいるものを幸せと言う。」ことが「しょうもない」と言っていたのではないかと思いました。
自分なりの解釈でもっと説明してしまうと「世の中は、誰にでも手にはいるものしか”幸せ”と定義づけられない(そうしないと世の中が成り立たないから)。だが本来幸せの感じ方は人それぞれであり、それを気にして生きる事はしょうもない。自分の好きにすればいい。」という、背中を押す言葉だったのではないでしょうか。

この言葉を聞いて、この詩に近いものを感じました。

幸福かと訊かれたら、
誰だって、戸惑い、ためらう。
幸福は答えではないからである。
幸福は状態でないからである。
感情でなく価値でないからである。
幸福は定義だからである。

長田弘『誰も気づかなかった』より

見終わった後、「パラサイト」のような、あの人って結局どんな人だったの?とかなる感じもエンタメ感強くておもしろかったし、「君の名前で僕を呼んで」のようなロマンスと綺麗な田舎の映像の組み合わせも綺麗で、見応えがありました。

この映画を通して、自分の中で新しい価値観が芽生えたのは確かでした。
お子には、湊が亡きお父さんに発した「なんで産んだ?」なんて考える暇ないほど悩みのない楽しい人生を送ってほしいと思ったけど、幸せとは呼ばないかもしれない何かを追求する悩みがあっても良いと思いました。
この時代、迷いや葛藤なくして、自分の生き方や幸せを見つ事はできないと思うから。

こひもと

Miki+Yuka / 東京・吉祥寺でKOHIMOTO Inc.というWebサイト制作の会社をやっているエンジニアとデザイナー🌐 IT企業出身。サイト制作を通じて微力ながら社会が良くなる手助けをしたいと思っている。本と音楽とお笑いがすき。