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BOOKCULTURE Edit : 2023.12.06 Update : 2024.01.25

「きみのお金は誰のため」―田内 学

とてもいい本だったので、紹介させてください。

この本の内容を一言でいうと「世界共通の便利な道具(お金)についての紹介本」です。
ですが、単に個人でお金を増やす方法などではなく、社会がどう回っているかを知ることで、その道具をうまく使いながら真に豊かに生きることについて記されてありました。

恥ずかしながら私はお金の知識が全くと言っていいほどありません。
私のような、なぜコロナや戦争で株価が下がるのかイマイチよくわかってないレベルの人間にとっても非常に分かりやすかったです。
お金にみたてたトランプのカードを使ってお金に価値が生まれる経緯や税制度を分かりやすく解説してくれていて、かなり助かりました。

ですが、この本を読めて本当によかったと思った理由はお金のシステムを知ることでこの世界をより肯定的に見れるようになった点です。

ここ数年、フリーランスから会社を経営する立場になり何故か色々知った気になっている中で、個人的に資本主義に対して「幸せの本質からは遠ざかっているのでは・・・?」というネガティヴに見てしまう視点も少なからずありました。

この本を読んで、お金やこの社会のシステムは本来、皆で助け合い、幸せを共有できるためにできたもので、幸せを遠ざけているのは個人の考え方や不安なのかなぁと思いました。(お金持ちに対する劣等感や不安を促進させるSNSやメディアの過剰な消費システムなど…)
それは個人の考え方や哲学によっても少しは変えていけるのでは、とおもいました。(例えば前にweb3の記事で紹介したように、広告を自分が見る見ないを選択するインターネットを利用したり…)

なので、世界をより肯定的にみれるようになって、最後にはとても優しい気持ちになれました。
筆者の方はなんとなく、自分の子供に向けてかいたんじゃないかなぁ…と思いました。

そして、まったく余談ですがOZworldがOKUという曲の歌詞を紹介していたのを思い出しました。


足るを知る事を学ぶが
人間はそれ以上を求め出す
縁の価値を円で忘れ変になって縁に帰る
愛に始まり恩で終われば
MeがWeに移り変わる


途中でアフリカ支援の一つとしてその国の産業物を売る人が出てきます。その章では”寄付だけではその現地で生活してる人や子どもたちが自立していくのに長期的な支援にならない“という内容が記載されていました。
なんだか、最近相方であるみきちゃんと「人を助けるという事の難しさ」が話題に上がって似たようなことを話たので、いろいろなことにつながるなぁ…と思いました。

自分はなんのために働いてるんだろう?と思う人にも働く意義がより見いだせると思うので、読んでみてほしい本です。

またひとつ、小さな疑問が生まれました。
個人が皆が頑張れば経済は発展するはずなのに、日本人は勤勉で真面目でなのに発展しない理由はなぜなんでしょうか…少子化もあるのかもしれないけれど、生産力という意味ではAIを味方につけられたら、日本経済は発展する可能性はあるのではないでしょうか。

そういったことを議論したり、新しい疑問を抱かせてくれるという意味でも良本でした。
 

Yuka Fujimoto

美大にいた頃に画面ひとつで世界中の人と繋がれるWebサイトの機能性やデザインへ興味を持つ。インターンを経てIT企業へ就職し、そこで出会った小日向とKOHIMOTOを立ち上げる。実用的なサイトを追求するディレクター兼デザイナー。ラジオと焼き鳥がすき。