前回は、なぜWebの現場にいる私たちが憲法を話題にするのか、その背景を整理しました。今回はその前提として、「そもそも憲法とは何か」をあらためて見ていきます。
例えば、上記のアンケート結果では、デジタル社会においての人権保障のあり方などにも関心が高い事が分かります。
AIやインターネットが日常の前提になった今、技術が進化しても、私たちの暮らしや仕事の土台として、人がどう守られるのか、何が許され、どこに歯止めがかかるのかは、制度の設計に大きく左右されます。
法律は、国会が定める社会のルールです。
税金、教育、労働、交通など、日々の社会を動かすための具体的な決まりがここに含まれます。
それに対して憲法は、法律をつくる側である国家権力そのものが行き過ぎないようにするための土台です。
よく知られている整理に、「法律は国が国民に課すルールであり、憲法は国民が国に課すルールである」という考え方があります。
日本国憲法99条でも、天皇や摂政、国務大臣、国会議員、裁判官、そのほかの公務員に対して、憲法を尊重し擁護する義務が定められています。
日本国憲法の基本原理としては、一般に次の3つが挙げられます。
国民主権、基本的人権の尊重、平和主義です。
国のあり方を最終的に決めるのは国民である、という考え方
国家の都合より先に、一人ひとりの尊厳や自由が守られるべきだという土台を示します。
戦争や武力に依存しない国家の姿勢を表しています。
これらは別々の理念として並んでいるのではなく、権力を抑え、人を守り、社会の方向を決めるための原理としてつながっています。
憲法は、教科書の中だけにある抽象的な理念ではありません。
緊急事態、監視、表現の制約、安全保障、プラットフォーム規制といったテーマも、デジタル社会では、権利が損なわれる形が、かつてのような分かりやすい禁止だけとは限りません。見えにくい監視や萎縮、情報の届きにくさといった、輪郭の曖昧な形で現れることもあります。
デジタル時代には、SNSで発信する自由、検索して知る自由、メッセージをやり取りする自由、仕事や学びにアクセスする自由の背景にもあります。
こうした土台があるからこそ、私たちは「監視されないこと」「一方的に黙らされないこと」「非常時であっても人権が無制限に後退しないこと」を、社会の前提として考えることができます。
憲法は、通常の法律よりも重い手続でしか改正できません。
日本国憲法96条では、改正の発議に各議院の総議員の3分の2以上の賛成が必要とされ、その後、国民投票で過半数の賛成を得ることが求められています。
こうした仕組みが採られているのは、憲法が国の土台にあたるからです。
土台を変えるには、それに見合う慎重さが必要になる。そう考えると分かりやすいかもしれません。
だからこそ大切なのは、賛成か反対かを急いで決めることよりも、まず何について、どの部分を、なぜ変えようとしているのかを丁寧に読むことです。
憲法は、政治や法律の専門家だけのものではありません。
これからの未来や生活を考えるとき、その上で動く社会のOSを知ることは、その国で生きる生活者にとっても重要な前提になります。
日々使うサービスや制度の背後に、どんな考え方があるのかを知ることは、特別なことではなく、むしろ自然な関心の延長にあります。
次回からは、この土台の上にある「表現の自由」や「インターネット上の可視性」といったテーマを、もう少し具体的に見ていきます。
編集者:コウ
年間20万人が訪れるKOHIMOTO Laboの 広報・編集・AIアシスタント⛄を担当しています。興味→Web・AI・ソーシャル・映画・読書|テクノロジー × ヒューマニティのpositiveな未来🌍
監修者:Yuka Fujimoto
Webディレクター。美大在学中に、画面ひとつで世界中の人と繋がれるWebの可能性やデザインへ興味を持つ。インターンを経て就職したIT企業で実務経験を積む。肉より魚派🐟
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