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映画 Edit : 2023.09.05 Update : 2024.11.29
校長先生が音楽室で湊に言った「幸せ」の意味を考える。映画「怪物」を観て⑤

校長先生が音楽室で湊に言った「幸せ」の意味を考える。映画「怪物」を観て⑤

7月に相方のみきちゃんに激推しされて怪物をみてきた。
かなり印象に残った映画で、ハラハラしたりいろんな感情になったし「あれってどういうこと?」という考えるきっかけをもて、とても好きだったので2人で感想を話しました。

こちらは、こひもとの読書録#1-2の内容の一部を抜粋し編集を施したものです。よろしければ、以下より全編を聞くことができます。


ゆか校長先生と湊が音楽室で話した言葉はやっぱり重要なシーンだったのかなって思って。

その中で校長先生が湊が「好きな人がいる。人に言えないから、嘘ついてる。幸せになれないってバレるから。」って言った後、校長先生が「そんなのしょうもない。誰かにしか手に入らないものを幸せって言わない。しょうもないしょうもない。誰にでも手に入るものを幸せって言うの。」と。

この「幸せ」ってどういう意味だと思う?
みきわたしの解釈では、文字通りの「誰にでも手に入る幸せ」が「幸せ」なのではという解釈。
例えば、食べ物を食べて美味しいっていう事とか、誰かを好きになった時にその人と一緒にいられる時間とか。
そういう「誰もが手にできるもの」が幸せって捉えた。
ゆか確かにそうだね。「誰かにしか手に入らないものは幸せって言わない」っていうのは?
みきそれはここで言うと、湊のお母さんが言っていた「普通の家庭」の事だと思う。

湊はお母さんから「普通の家族でいい、湊が家族っていう一番の宝物を手に入れるまで、お母さんは湊を守るってお父さんと約束してる」って言われていたと思う。

でも、湊は依里との一緒に過ごした時間の中で、依里への気持ちとかにも気づいて、その時にお母さんの言った普通の家庭にはなれないって悩んでいる中で「誰かにしか手に入らないものは幸せって言わない」というのは、その普通の家庭とか制度上の結婚するのとかが、誰かにしか手に入らないものへかかってるのかなと。
ゆかその会話の後に本には、湊がその言葉が今は理解できなかったけど、きっと大人になったら理解できるのかな、みたいな感じで書いてあったよね。何か、背中を押される言葉みたいな。
みきそうだね。湊を勇気づける言葉であったっていうのは間違いないと思う。
ゆかそれに加えて、しょうもないって繰り返すことで、もはや「幸せ」っていう概念自体に捉われることがしょうもないって言うニュアンスもあるんじゃないかな?って感じた。
みきそれもあると思う。
ゆかそう思うと、校長先生っていい人なんじゃない?
みきうん。でも伏見校長はどんな人だったんだろうっていうのは明示されてなくて、このストーリーの中で。学校のメンツを守るために先生とか親にはあんな態度とか取れるんだとか。子供に足を引っかけたり何だったんだろうとか。
ゆか確かにね。なんか、学校のメンツを守るためと、もしかしたら湊が嘘付いてる理由が複雑だぞってちょっと気づいてたっていう説もあるよね。
湊が嘘付いてる理由が、依里のことが好きとかだった場合に、それを小学校でこの町で公にするのとかって、2人にとってはどうなんだろう。っていう所まで、もしかしたら考えてた可能性もあるのかなと思って。
みきそれだったら、この映画の「第四章 伏見校長」みたいのがあったら、めっちゃいい人じゃんってなったかもしれないね。
ゆかうん。小説には伏見校長は「本当は孫と一緒のお墓に入りたい」って思ってた、とかちょっと細部まで描かれてたから、よりそう思ってしまうのかもしれない。












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映画を見た直後の藤本がLABOに書いていた感想📝を残しておきます。2023・07

7月に相方のみきちゃんに激推しされて怪物を見てた!
かなり印象に残った映画で、ハラハラしたりいろんな感情になったし「あれってどういうこと?」という考えるきっかけをもて、とても好きだった。

怪物で、校長先生が音楽室で放った言葉

自分の中で印象に残った言葉で、校長先生へ湊が依里への好意がある(性別が男性の人間を好きになった)から幸せになれない、と打ち明けた後に、校長先生が湊へ言った言葉。

誰かにしか手にはいらないものは幸せって言わない。しょうもない。誰にでも手にはいるものを幸せというの。


湊からすると、初めて自分の苦悩を他人に打ち明けました。
この言葉を聞いた後の展開から、湊にとってはその言葉はポジディブな言葉と捉える。

では、この言葉はどういう意味で、湊に向けられたのか?
この言葉は「幸せになれない」と言った湊を肯定する言葉だった。
では、校長先生は何を「しょうもない」と言ったのか?

この言葉を聞いて、この詩を思い出した。

幸福かと訊かれたら、
誰だって、戸惑い、ためらう。
幸福は答えではないからである。
幸福は状態でないからである。
感情でなく価値でないからである。
幸福は定義だからである。

長田弘『誰も気づかなかった』より

Call me your nameのようなロマンスと田舎町の組み合わせも綺麗で、パラサイトのような「あの人って結局どんな人だったの?」とかなる感じもエンタメ感強くておもしろかったし、見応えがあった。

この映画を通して、自分の中で新しい価値観が芽生えたのは確かで、子どもには湊が亡きお父さんに発した「なんで産んだの?」なんて考える暇ないほど悩みのない楽しい人生を送って欲しいと思ってた。でも、この時代に迷いや葛藤なくして自分にとってこれが幸せと感じられる生き方をみつけるのは難しいと思うから。

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こひもと

みき+ゆか / 吉祥寺でKOHIMOTO Inc.というWebサイト制作の会社を力を合わせて営んでいます🤝IT企業出身のエンジニアとデザイナーで元同期。