ゆか一番最後に結婚式で尾野真千子の巻子が鷹男にいつかのあれね、私本当は信じてないのよ。付き合ってる女の人。
みき巻子自身は不倫してるって確信してたと思うんだけど。
ゆかでも、家庭の円満を優先しようって思って「あれ、本当は信じてない!ごめん」みたいな言いたかったのかなって。
みきでも、言い方が、そんな感じでもなかったんだよね。
ゆかそう。なんかジトっとしてたよね。
みき夫は、女の人秘書の女の人が家に来たことを伝えた時に「不倫なんてしてない」って言ってたよね。
ゆかうん、言ってた。
みきやっぱり私はあなたの不倫してないって言葉は信じてないのよ、っていう意味にも思えた。
ゆかなるほど。
みき秘書が結婚したから、やっぱり不倫なんてなかったでしょっていうエンディングっぽいけど、尾野真千子自身は、不倫してないって信じてないのよ、っていう。
ゆか最後のシーンを見返すとなんかそう思えてくる。
みき女の怖さじゃないけど。タイトルの通り阿修羅のごとく的な。
ゆかたしかに。疑ってた人が結婚したしもうどっちでもいいよ、みたいな感じにも思えたけど。
ゆか結局不倫してたのかな。
みきどうなんだろう。ゆかちゃんはどう思う?
ゆかその夫に関しては明確なシーンは出てきてないじゃん。
みきうん、匂わせみたいなシーンばっかだよね。
ゆか出張の時に家に「早く終わったから昼飯でも食べに行く?」って間違えて電話してきたから怪しいと思ってる。
みきたしかに。
ゆかそれが間違い電話じゃなかったらさ、尾野真千子とご飯食べてるはず。
みきそうだよね。この姉妹の中で一番疑ってるのって尾野真千子だったじゃん。
ゆかうん。
みき疑ってるからその目線で怪しくうつってるけど、何もないんですよ、っていうパターンもあり得るよね。
ゆかうん、あり得る。
みきどっちなんだろうね、委ねますみたいな感じなのか。
ゆか途中で夏目漱石の虞美人草っていう小説の一節が朗読されたと思うんだけど、これに全部が集約されてるなって思った。
悲劇は喜劇より偉大である。
粟か米か、これは喜劇である。あの女かこの女か、これも喜劇である。英語か独逸語か、これも喜劇である。すべてが喜劇である。
最後に一つ問題が残る。生か死か、これが悲劇である。
みきこれ、すごい。
ゆかこの物語って、こういうことなんだろうなって。
みきさっきの尾野真千子の最後の言葉はどういう意味だったんだろうっていう話も、あれで終わったのもその言葉を夫と話せているうちは喜劇ですっていうことかもね。
ゆかうん、そうかもしれない。
みきでも、お母さんが亡くなったのはもう戻ってこないから、それは圧倒的な悲劇で。
ゆかうんうん。
みきその悲劇をベースに、夫とのいざこざとか喜劇としてあぶり出されて、マジでこの言葉だ。
ゆかお母さんが亡くなったみんなでお墓参り行った帰りのシーンでこの言葉が朗読されてた。文字が映って。
みきこれが全てじゃんって思った。
ゆかだから本当に戦争とかはやだ。
みきそうだね。でも、いろんな辛いこともあるから、それを死んでない限り喜劇として捉えるのは難しい事もあるよね。
ゆかうん、あるね。死に関わることは悲劇だと思う。怪我したり、病気になったりとか。
みきでも、色んな事をもはや喜劇として捉えたら長い目で見ると、ある意味で人生が豊かになったりすることもあるよね。
ゆか本当にそうだと思う。
編集者:こひもと
みき+ゆか / KOHIMOTOというWebサイトをはじめとしたDigital Creativeの会社を営んでいます🤝IT企業出身のエンジニアとデザイナーで元同期。hiphopと本とお笑いが共通言語。
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