資料作成に入る前に
資料作成のデザインでは、はじめにルール(デザインのトンマナ)を決めてしまうことで、見易い資料作りが比較的容易になります。
イメージが定まらないまま作成を始めてしまうと作成の軸が不明瞭になり、迷ってしまう可能性があるためです。
トンマナとは
トンマナとはスライド内で使用するフォントやカラーなど、伝えたい内容を視覚的に分かりやすくするためのデザインのルールです。
トンマナを決めて雰囲気やコンセプトに一貫性を持たせることで、重要な情報や優先度、階層構造などを効果的に伝えやすくなります。
トンマナについては、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてみてください。
スライド内の要素を整える
色使いなど「デザイン」と聞いて真っ先に思い浮かぶのがこの要素を整える部分かと思います。よみやすい資料を作るのはコツさえ抑えてしまえばそこまで難易度は高くありません。
伝わりやすさにも影響するのはもちろんですが、資料の中身をみる前のパッと見の印象は、この要素の整い方で決まるとも言えますので、ご紹介します。
色の役割を決める
使用する色は数を絞り、それぞれの役割を明確にすることで色に意味を持たせることができます。
使う色は、「背景・文字・メイン・アクセント」でそれぞれ1色ずつ、そのうち背景と文字は、白・黒などの無彩色が多いので、「任意のカラー2色+無彩色」でスライドのデザインを作成するようにしましょう。
徹底して揃える
大きさや配置が揃っていないと、整っていない印象を与えるだけでなく間違った認識を生む可能性もあるので、細かい点もきを配るようにしましょう。
文章を読みやすくする
文章は少しの微調整で格段に読みやすくなります。
以下3点は特に意識しましょう。
- 改行は区切りよく
- 行間を空ける
- 箇条書きや3行を超える文章は左揃えにする
行間についてなど、以下記事で文章を読んでもらうポイントを詳しく解説していますので、参考にしてみてください。
パワポのガイドの効果的に使う
ガイドを使うメリットには大きく以下2点です。ガイドの中でも紹介する3つを意識しましょう。
- 要素の配置・整列がスムーズになる
- 資料の説得力が増す
センターガイド
印象づけたいメッセージなど、短文のテキストをスライドの中央に配置するときに使用します。
ヘッダー/フッターガイド
紙面に余裕ができてスライドの見やすさが増し、情報の整理も進めやすくなります。
2分割ガイド
「ビフォー/アフター」や「課題/対策」「理想/現実」など、2つの事象を並べて見せるときに目安にする
フォントについて
ゴシック体が望ましい
企画書や論文・レポートなど、数十行にわたる資料には「明朝体」が向きます。
長文の日本語には、可読性が高く時間をかけて読んでいても目に負担の少ないためです。
プレゼン資料など、
文字数がそこまで多くない資料は「ゴシック体」が向きます。
限られた時間の中でダイレクトに伝えるためのプレゼン資料には、パッと目に入って読みやすいゴシック体がおすすめです。
フォントサイズ
適正な文字サイズは使用用途によって変えるが正解ですが、目安として以下の表を参考に文字サイズを設定してみてください。
メッセージの魅力が高まる、文字組みのポイント
文字の大きさや改行位置などの細かなバランスに調整を施すことで、プレゼン相手に特にアピールしたいメッセージの魅力を高めることが出来る文字組みのノウハウをいくつかご紹介します。
資料で用いるフォントには、このルールを覚えておくと便利です。
数字は大きく・記号や単位は小さく
金額や倍率・年月日など、数字と記号/単位がセットになる言葉は数字を大きく、記号/単位を小さなサイズにするとバランスがよくなります。
文字に大小差をつける
情報の重要度に合わせて差をつけた方がメッセージにメリハリが生まれます。ここでは電話番号のサイズを大きく・太字にし、大切な情報を強調しています。
カギカッコは細く
“「」”(カギカッコ)は細字で記載すると文章がすっきりします。これは記号や単位同様、カギカッコそのものが重要な情報ではないからです。
読みやすい位置で改行する
文の改行位置にこだわると読みやすくなります。上記の例では、単語の途中での改行を避けることにより、文をテンポよく読み進められるようになっています。
脳にやさしく配置する
「見づらい」の主な原因となるのが、規則性のない配置です。
人の視線の流れを意識した配置をすることで格段に伝わりやすさが変わります。
人の視線誘導
人の視線は「左上から右下」に流れる習性があります。主な動きは3パターンあり、この流れを意識して配置することで、誰が見ても分かりやすいと感じるスライドになります。
重要な内容は、最初に目がいく上部に記載するようにしましょう。
近接効果
関連のあるものを離れた場所に配置してしまうと、読み手にとって関連する情報を探す負担がかかります。
一目で分かるように、
関連性の高いものは近づけて配置しましょう。
整列を意識
整列ありの場合と、整列なしの場合を比較してみるとどちらが見やすいか一目瞭然です。
反復(リズム)
プレゼン資料を作成する際にも、ページが切り替わっても見出しのデザインは統一したり、要点をまとめる際の装飾を揃えたり、ルールを繰り返すことで「リズム」が生まれますので、受け手にもストレスを与えることなく資料を見てもらうことができます。
過去、イメージは左
視線の流れは左から右なので、時系列のある内容は
「過去を左、現在を右」に配置します。
また、左目で見たものは右脳で処理されるので、感覚的な写真・イメージ・グラフなどは左側に配置する事をおすすめします。
情報整理+余白設定
情報を伝えたい気持ちが大きいあまり、字も大きく情報を詰め込みすぎてしまうと、資料に余白がなくなり窮屈な画面になってしまいます。
余白とは、資料の上に情報を入れた後に余ったスペースのことではありません。情報と情報の境界線であったり、わかりやすさや余裕を生み出す重要な役割を果たす余白は、「作る」ことを意識する必要があります。
徹底して情報を絞る
最後にデザインではありませんが、読み手に伝えるために最も重要な事を記載します。
それは、
情報を絞ることです。
特に文字情報を沢山詰め込んでいるスライドは、読み手からすると複雑に感じます。作成する資料を
何のために作るのかという意図や、求められている情報を理解した上で、伝えたい内容を絞り込むことが重要です。
ワンスライド・ワンメッセージ
1スライド1メッセージを意識することがが大切です。
メッセージをひとつに絞ることで、表面的にも構造的にも全体がよくまとまります。
こちらの記事が、伝わりやすい資料作りの手助けになれば幸いです。
KOHIMOTO LABO
東京・吉祥寺でKOHIMOTO Inc.というWebサイト制作の会社をやっているエンジニアとデザイナーが、発信を通して成長していくためのラボ🧪 IT企業出身。サイト制作を通じて微力ながら社会が良くなる手助けをしたいと思っている。