ROAS(広告費用対効果)は一見、売上との相関が強く「効いている広告」を見極める上で便利な指標です。
しかしROASは、あくまで広告の効率性しか映し出さず、プロダクトの魅力や顧客体験、組織の実行力、財務の健全性といった本質的な成長ドライバーを捉えられないからです。たとえば、広告効果が一時的に良くても、リピートされずLTVが低ければ収益は続かない。逆に、ROASが一見低くとも高い継続率と口コミで着実に伸びる事業もあります。
ROASが見落とす3つの経営リスク
- 一過性ユーザー依存
ROAS改善=広告最適化に走ると、刹那的なトラフィックに頼り、顧客基盤が育ちません。
- “広告停止ゼロ”問題
“足し算”型の施策は、予算凍結と同時に売上が蒸発。財務の予見性が失われます。
- ブランドエクイティの希薄化
クリック獲得競争は値引き誘発→粗利圧迫へ。結果、長期のブランド価値が削られます。
本質的な価値を数値化する8つのKPI
Webサイトの効果として、Webを活用していくために意識したい8つのKPIについて解説をしていきます。
KPI |
何を示す? |
経営インパクト |
LTV | 顧客が生涯で生み出す粗利 | 資本効率の基準点 |
CAC | 1顧客を獲得するコスト | マーケ投資上限の指標 |
LTV/CAC | 投下資本回収スピード | M&A・資金調達の算定根拠 |
AOV | 1回の平均購入額 | プライシングとUX改善のヒント |
リピート率 | 再購入の割合 | 需要予測・在庫計画に直結 |
NPS®︎/eNPS | 推奨意向 | 顧客ロイヤルティと採用競争力 |
ブランド検索Vol. | 指名検索数 | 広告ゼロでも流入する“熱量” |
チャーン率 | 解約・離脱の割合 | プロダクト改善の優先度 |
KPIを経営指標へ変換する3ステップ
01. 財務マッピング
LTVは売上高、CACは販管費、チャーンは解約損失としてP/Lに配置。
02. フローモデル化
KPIを因果ループ図で可視化し、「AOV↑ → 粗利↑ → 再投資余力↑」を定量化。
03. 会議体リズム化
月次では財務、週次では成長指標、日次では運用KPIを確認。レイヤー別にダッシュボードを分けましょう。
ダッシュボード設計のコツ
- 1画面=1意思決定
指標を詰め込むほど誰も見なくなる。
- 原価センシティブ指標を色分け
利益直結KPIは赤/黒で即判断。
- 行動ログ⇄売上データのID軸統合
“計測できない努力”をゼロに。
ROASは「入り口」にすぎません。LTV/CAC×チャーン率で中長期の体力を測り、ブランド検索ボリュームで未来の売上を先読みしましょう。KPIは測るだけでなく、組織を動かす言語です。
Web KPIダッシュボードのExcelファイルを準備しました。以下よりDLいただき、お使いいただけますので、よろしければご活用ください✨
- シート1:定義&計算式一覧
- シート2:経営会議用サマリー(自動集計)
- シート3:部門別アクションプラン
コウ
年間約20万人が訪れるKOHIMOTO Laboの 広報・編集・AIアシスタント⛄を担当しています。興味→Web・AI・ソーシャル・映画・読書|テクノロジー × ヒューマニティのpositiveな未来🌍