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マーケティング Edit : 2022.11.08 Update : 2024.12.25
海外へ向けた越境ECのサイト制作の始め方と注意点を詳しく解説〜欧州編〜

海外へ向けた越境ECのサイト制作の始め方と注意点を詳しく解説〜欧州編〜

越境ECという言葉をご存じでしょうか。越境ECとは、国境を超えた電子取引のことです。
コロナ禍によるECの需要拡大とともに、越境EC市場も徐々に広がり始め、世界中から注目されています。今後国内でも越境EC市場は拡充されていくことになるでしょう。

越境ECとは

越境ECとは、インターネットの通信販売サイトを通じて行う国際的な電子商取引(=EC)のことです。基本的には日本国内よりも、海外の消費者に向けて国内の商品を販売することを目的としています。

越境ECの商流について

越境ECには、大きく分けて5つの商流が存在します。

販売チャネルと物流の関係一覧表

1.国内で自社サイトを運営し、日本から直送

自社でサイトを構築し、自社サイトで海外購入者からの注文を直接受ける方法です。商品は、海外購入者向けに日本から発送します。

国内で自社サイトを運営し、日本から直送



2.国内のECモールに出店し、日本から直送

自社サイトを構築するのではなく、日本国内の越境ECに対応したモールなどに出店・出品をする方法です。商品は、注文を受けて海外購入者向けに日本から発送します。

国内のECモールに出店し、日本から直送



3.相手国のECモールに出店し、日本から直送

進出したい海外のECモールなどに出店・出品する方法です。商品は、注文を受けて海外購入者向けに日本から発送します。

相手国のECモールに出店し、日本から直送



4.海外のECモールに出店し、販売プラットフォームの倉庫から配送

予め商品を海外の海外のプラットフォーム倉庫に日本から送っておき保管し、海外のECモールに出店・出品する方法です。商品は、海外のECモール等が購入者から注文を受けて発送します。

海外のECモールに出店し、販売プラットフォームの倉庫から配送



5.相手国のEC事業への卸しとして、自社倉庫から輸出

国内の輸出者と相手国側の輸入者との間で貿易手続きを行い、その後相手国側のECモールやECサイトで商品を販売する方法です。

相手国のEC事業への卸しとして、自社倉庫から輸出



越境ECの市場規模について

越境EC市場自体は、世界的に見ても右肩上がりに成長しており、年平均成長率は約30%で急拡大することが見込まれています。経済産業省が公表する「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」によると、世界の越境EC市場規模は2026年には4兆8,200億USドルにまで拡大すると予測されており、大きな可能性を秘めた市場なのです。(※2019年は、7,800億USドル)

また、同調査によると、令和2年度の日本の消費者による米国・中国事業者からの越境EC購入額は3,416億円で、前年比7.6%増となっています。一方、米国の消費者による日本・中国事業者からの越境EC購入額は1兆7,108億円で、前年比9.9%増。中国の消費者による日本・米国事業者からの越境EC購入額は4兆2,617億円で、前年比16.3%増という結果です。

越境EC購入額の推移

■図表解説

日本 日本の越境 BtoC-EC(米国・中国)の総市場規模は3,416億円となった。このうち、米 国経由の市場規模は3,076億円、中国経由の市場規模は340億円であった。
米国 米国の越境 BtoC-EC(日本・中国)の総市場規模は1兆7,108億円となった。このうち、日本経由の市場規模は9,727億円、中国経由の市場規模は7,382億円であった。
中国 中国の越境 BtoC-EC(日本・米国)の総市場規模4兆2,617億円となった。このうち、 日本経由の市場規模は1兆9,499億円、米国経由の市場規模は2兆3,119億円であった。

参考:令和2年度 産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)より

日本製の商品は高品質で安全な上、海外で取り扱っていないものも多いため、外国人から支持されています。
しかし日本はこういった越境ECのポテンシャルが秘めつつも、まだそれが開花していない状態です。国内では大幅な円安が進んでいることもあり、今後越境ECに取り組むことで、大きな利益を生む可能性があるといえるでしょう。



越境ECを始めるにあたっての注意点

商品やサービスが越境ECに向いているか

まず自社の商品やサービスが、越境ECに向いているかどうかを慎重に検討する必要があります。そのためには越境ECの対象とする国や地域で、ニーズがあるのかという点をリサーチしなければいけません。実際に文化の違いなどから全くニーズがなかったということも可能性としては大いにありえます。
越境ECでは、オンラインゲームや電子書籍などのデジタル商品と相性が良いとされています。デジタル商品は、インターネットさえあれば物理的な距離の制限を受けず、輸送の手間やコストをかけることなく届けることができるためです。



越境ECを始めるために必要な準備

1.商品の準備

まず商品の在庫を確保します。また商品によっては輸出の規制対象になっている場合もあるため、その商品が現地の法律でどのような扱いを受けるのかも事前に確認しましょう。

2.法律の規制や商習慣の確認

現地の法律や規制、商慣習などについて確認しておきましょう。越境ECでは、物流や決済方法、発送手段、翻訳など、販売国に合わせた対応が必要です。例えば中国の場合、webサイトの開設・運営はすべて許可制となっており、「ICP」と呼ばれるライセンスがなければ、サイトを開設できません。中国で電子商取引を行うためには、ICPライセンスの取得が必須です。ライセンス未取得の場合は違法となり、発覚するとサイトの運営停止や罰金などのペナルティが科せられます。
また、国境を超える取引には、商品やサービスに対して関税が発生します。商品によっては、関税法で輸出入が禁止されているものもあります。例えば、中国では古着の輸入が禁止、中古機器などの輸入には現地確認が必要になる規制などが存在しており、輸出入の許可リストは、各国の税関ホームページに掲載されています。越境ECで取り扱う商品が、販売国で輸出入が禁止されていないかどうかを事前にチェックしておきましょう。

3.越境ECでの出店方法を決定する

出店方法に関しては、前段での商流に関する解説(越境ECの商流について)を参考にしてみてください。



日本から欧州(ヨーロッパ)へ越境ECサイトを公開する方法

ヨーロッパ圏は、アジア圏に比べて展開のハードルは高いものの、その分展開している日本企業の数も少なく、比較的ブルーオーシャンであるといえます。一方、文化や商習慣が大きく異なることから、現地ユーザーのニーズをしっかりとリサーチしておくことが重要です。
以下で欧州での越境ECの出店方法について詳しく解説していきたいと思います。興味のある方はチェックしてみてください。

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ヨーロッパの越境EC市場規模の推移予測

ヨーロッパの越境EC市場規模は、2018年に16兆円だったのが2020年に20兆円となり、2022年には29兆円にまで成長するとみられています。

ヨーロッパの越境EC市場規模
引用元:Ecommerce News Europe/24% of ecommerce in Europe is cross-border

商品を発送するにあたっての注意点

日本から海外へ商品を発送する際に避けて通れないのが、税関申告です。今回はポイントに絞って解説していきたいと思います。

1.輸出通関

商品を日本から海外へ発送するにあたって、輸出申告を行い税関を輸出許可を得る必要があります。税関では、発送する商品が輸出規制に抵触するものではないかなどの確認を行い、許可をします。つまり、輸出許可を得るためには、商品内容を明記した書類(通関用のインボイス)が必要となります。

輸出通関

2.輸入通関

商品が相手国に到着したのち、購入者の手元に届く前に輸入申告し税関の許可を得ます。場合によっては、納税を行う必要があります。輸入通関は規制品などの確認に加えて、輸入関税など、税の発生の有無の確認、税の徴収を大きな目的としています。輸出通関と同様、輸入許可を得るため、商品内容を明記した書類(通関用のインボイス)が必要となります。

輸入通関

3.取り扱い可否の事前確認

希望する輸出手段での取り扱い可否の事前確認(航空危険物に該当しないかなど)を行う必要があります。

①火薬類 例:花火・弾薬等
②高圧ガス類 例:ガスライター、ヘアスプレー、酸素ボンベ等
③引火性液体 例:塗料、化粧品、香水、接着剤等
④可燃性物質類(自然発火性物質含む) 例:マッチ、金属粉末、活性炭等
⑤酸化性物質類 例:化学酸素発生器、過酸化水素水等
⑥毒物類 例:殺虫殺菌剤、農薬、医療系廃棄物等
⑦放射性物質
⑧腐食性物質 例:硫酸、鉛蓄電池等
⑨その他の有害物件 例:リチウム電池、ドライアイス、磁石等

出典:国土交通省航空局安全部運航安全課

4.関税法に遵守すること

輸出が規制されている商品を輸出しない、相手国側で輸入できない商品を輸出しない、意図的にインボイス上の価格を低いものにしない、これらのことは決して行わずに法令遵守を徹底しましょう。

5.関税・輸入付加価値税について

ヨーロッパの場合、ほとんどの国で商品を輸入する際に関税と輸入付加価値税が発生します。実際の商品価格にプラスし、税がかかるためどのように購入者に負担していただくかを事前に検討する必要があります。ヨーロッパでの関税・付加価値税の関税方法についてはEU加盟国とそれ以外で異なります。
EU加盟国の場合、1度に輸入される商品価格が150ユーロを超えるか超えないかがポイントとなります。

150ユーロ
以上の場合
関税と付加価値税が課税の対象となる ・関税:商品によって税率は異なる ・付加価値税:国によって税率は異なる
150ユーロ
未満の場合
・関税:免税
・付加価値税:国によって税率は異なる

決済について

決済については、対象国でよく使用される決済方法を採用しましょう。Payvision社の調査によると、ヨーロッパのオンラインショッピングでは、44%の消費者がデジタルウォレット、次いでクレジットカード決済が42%、PayPalが32%となっています。

1位 デジタルウォレット 44%
2位 クレジットカード 42%
3位 PayPal 32%
4位 現地に準じた支払方法 11%
5位 代金引換 11%
6位 Apple Pay/Google Pay/Samsung Pay 3%

参照:【2021年版】ヨーロッパのECでよく利用されている決済方法

ECサイト構築でのGDPRの必要性について

GDPR(EU一般データ保護規則)とは、EU圏内居住者の個人データ保護の強化を目的とした規制であり、2018年5月25日に施行されました。この規制は、EU圏内居住者と関わりのあるすべての事業(webサイトを含む)に影響します。事業の所在がEU圏内にあるか否かに関わらず、EU域内に顧客を持ち個人情報を取り扱うすべての企業が対象となります。ヨーロッパでの越境ECを始めるにあたって、GDPRについては熟知しておく必要があります。

GDPRにおける個人データの範囲

GDPRでの個人データとは、個人を特定する氏名や住所、連絡先、メールアドレス、本人写真、IPアドレス、クレジットカード、従業員番号など、個人を特定され得るすべての情報が対象となります。EU域外の企業であっても、EU域内の個人情報、顧客情報に関しても適応されます。例えば、EU在住の人が越境ECを利用して商品を購入した場合、そのEU在住の個人情報の管理についても適応される法律となります。EUに現地法人を持たない日本企業のwebサイトであっても、EUからアクセスできるwebサイトにお問い合わせフォームなど名前やEmailアドレスを入力するフォームを設置したり、Googleアナリティクスなどを一つでも導入しているだけでもGDORの規制対象になると考えられます。

自社がGDPRの対象になる場合

EEA(欧州経済領域)*で、SNSやマーケティング、販売、発送などの事業活動を行ったことがあれば、日本の企業でも対象となる可能性があります。
*現在EEAには、スイスを除くEFTA加盟国のアイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェーと、EUに加盟する27か国が欧州共同体 (EC) の枠組みとして参加している。

【GDPRに該当する企業】
  1. EEAに子会社、支店、営業所などの拠点を持つ企業
  2. EEA域内の企業から、個人データ処理について委託を受ける企業
  3. EEAの消費者に商品やサービスを提供する企業

 

GDPRに違反した場合

GDPRに違反した場合は、下記のような重い罰金が課せられます。

  1. 情報開示・監査指示、データ処理作業の禁止、消費者への周知命令、各種認証の警告・撤回
  2. 制裁金1,000万ユーロ、または前会計年度の全世界年間売上高の2%のいずれか高い方
  3. 制裁金2,000万ユーロ、または前会計年度の全世界年間売上高の4%のいずれか高い方

 

違反しないための具体的な対応策

GDPRに対応していないからといって、すぐに制裁金がかかるということではありませんが、いくつか対応策をご紹介します。

1.GDPRに準拠したデータにする

不要なデータを保持、収集していないかの確認を行い、不要なデータの場合は削除をしましょう。また、GDPR施行にあたり、データの取り扱い方法における修正を反映したプライバシーポリシーを作成します。
プライバシーポリシーでは、サイト訪問者のデータをどのように扱っているのか、Cookieやその他トラッキングに関してサイト上でどのように使用しているかなどの情報を伝える内容を記載します。

2.サイト訪問者のデータを処理するための法的準拠を確立する

サイト訪問者からの同意を得る、チェックボックスや同意確認などを設けます。

3.マーケティングキャンペーンの承諾を得る

メルマガなどの購読ボタンの横に注釈をつけ、ボタンをクリックすることでマーケティングキャンペーンが配信されることを明記する。

4.使用するサードパーティ製アプリがGDPRに準拠していることを確認する

データ解析ツール(Googleアナリティクス)などが含まれます。

5.ツールを使用してサイト訪問者のデータを入手、削除する

ネットショップASPなどでGDPR向けのツールを公開している場合は専用ツールを活用します。

 
GDPRに早急に対応することは、人的リソースや予算、専門知識といった観点からも非常に難しいというのが現状です。中小規模の企業がGDPRに関して厳しく調査される可能性は低いとも言われていますが、できることからまず始めていきましょう。

 

十分性認定に関して

情報の保護水準がEUと同水準であると認定された国、地域に関しては個人データの域外移転を認める、これを十分性認定と呼びます。認定された国は、個々の企業への負担(事務的負担など)も軽減されることが期待されており、日本は2019年1月から、GDPRの十分性認定を受けています。

 

ECサイト構築でのGDPR対応

Shopifyなどの著名なコーマスプラットフォームでは、shopifyがGDPRに関してどのような取り組みを行なっているかなどをまとめて公開しています。
また、ShopifyでのGDPR対応については以下の動画で解説されています。

参考:GDPRとは?あなたと越境ECストアが知っておくべきこと
Shopifyヘルプセンター/プライバシー

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日本から米国へ越境ECサイトを公開する方法

*調査・執筆中です。

日本から中国へ越境ECサイトを公開する方法

*調査・執筆中です。

日本からインドへ越境ECサイトを公開する方法

*調査・執筆中です。



まとめ

今後も国内で市場を広げていくであろう越境EC、是非とも注目していきたいですね。国によって規制が異なるため、Webサイトなどで海外にも目を向けていきたいと検討する企業にとっては多くの学びになると思います。

弊社ではECサイト制作のご相談も承っております。お気軽にご連絡ください。



tacot

大学卒業後、デジタルマーケティング会社に入社しメディア広告営業やウェブサイトのディレクションを担当。前職の経験を活かしウェブディレクターをしながらWeb制作業界にまつわるコンテンツを執筆中。