MENU
CLOSE
ディレクションユーザビリティ Edit : 2025.05.19 Update : 2025.05.20
【ウェブアクセシビリティ】AからAAAへ:見落としがちな10ポイント

【ウェブアクセシビリティ】AからAAAへ:見落としがちな10ポイント

WCAG 2.2に“準拠”するだけでは、本当に使いやすいウェブサイトとは言えません。A → AA → AAA へとアクセシビリティを段階的に引き上げる過程では、現場で見落とされがちなポイントがいくつもあります。これらの盲点を的確に潰していくことが、質の高いユーザー体験を実現する鍵となります。
【ウェブアクセシビリティ】AからAAAへ:見落としがちな10ポイント
本記事では、Web制作会社の視点から、アクセシビリティのアップグレードに欠かせない10の重要ポイントと、最短でAAAを達成するための実践的なロードマップをご紹介します。

なぜAAA を目指すべきか

アクセシビリティ対応は「義務」や「最低限の配慮」と捉えられがちですが、高齢者や障害のある方だけでなく、すべての利用者にとって使いやすい設計は、ブランド価値の向上やユーザーの信頼にも直結します。

  • 検索評価が向上:コアアップデート以降、アクセシビリティは UX シグナルとして重視される。
  • ユーザー裾野の拡大:色覚多様性・高齢者・一時的障害ユーザーを逃さない設計は CVR 向上に直結。
  • ブランド価値の向上:倫理的企業イメージは採用・投資判断にも影響。
  • 法規制リスクの回避:改正障害者差別解消法(2024年)により、民間企業にも合理的配慮が義務化

【ウェブアクセシビリティ】AからAAAへ:見落としがちな10ポイント

見落としがちな10ポイント

ステップ1. 色コントラスト比 4.5:1 未満のスプラッシュ

ボタンhover時など動的状態も測定。 【ウェブアクセシビリティ】AからAAAへ:見落としがちな10ポイント


ステップ2. カスタムフォーカスインディケーター

outline:none; で消したまま放置はNG。ブランドカラーに揃えた2pxソリッド枠で「見てわかる」ガイドを。
コピペで使えるCSSスニペットは以下👇


ステップ3. ARIA ラベルの多言語管理

誤読が起こるメカニズム

ページ全体に lang="ja" を指定していても、
aria-label="Download" のように 異なる言語のラベル が混在すると、
スクリーンリーダーが “日本語読み” で英単語を読んでしまいます。

結果:「ダウンロード」が「ドゥワンロード」に──アクセシビリティ得点がマイナス。

結論:テキスト系属性(aria-labelaria-describedbyalt など)は、 UI文言と同じ 翻訳フロー に乗せる必要があります。


ステップ4. Live Region の誤用

「更新が起きたことを知らせたい」ことからaria-live=”assertive” を量産していませんか?Live Region は乱用すると、読み上げ渋滞を引き起こしてしまいます。
通知コンポーネントが aria-live="assertive" だと割り込み過多のため、通常は polite で十分です。

  • polite"をデフォルト、assertiveは本当に緊急な場面だけ
  • DOM更新を最小化し、実質変化がある時だけ通知
  • 性別・年齢・障害の有無を問わず「うるさくない・分かりやすい」体験を提供

ステップ5. スキップリンクの階層不足

#main だけで満足せず、長尺LP では「商品一覧へ」など複数スキップを配置しスクロール疲労を軽減。


ステップ6. 動画・スライドの自動再生 & 音声コントロール

ミュート初期値+キーボード操作で再生停止可能に。キャプションはSRT管理。
【ウェブアクセシビリティ】AからAAAへ:見落としがちな10ポイント


ステップ7. フォームエラーメッセージ

色だけでNGを示さない。赤枠+aria-describedby でテキストを紐付け、送信前に一括要約を提示。


ステップ8. 表 <th> と <td> の紐付け

複雑テーブルでは headers 属性で交差セルを明示し、読上げの「今どの列?」迷子を防止。参考htmlは以下👇


ステップ9. 外部資料(PDF 等)のアクセシビリティ

HTML化が理想。難しければタグ付きPDF+読み順チェック。社内テンプレで作る段階から改善していくのも手です◎


ステップ10. 動的コンテンツ更新の通知

ニュースやSNSフィードを AJAX で自動更新すると、画面は静かに差し替わりますが、スクリーンリーダー利用者には変化が伝わらず「何が起きた?」と置いてけぼりになります。
そこで更新コンテナに role=”alert” または aria-live=”polite” を指定しておくと、DOM が書き換わった瞬間に支援技術が新しいテキストを読み上げ、利用者へ確実に通知できます。速報やエラーなど緊急度が高い情報は割り込み読上げの alert、通常の新着投稿は待機読上げの polite と使い分けると騒がしさを防げます。


AAA へのロードマップ:3 フェーズ

期間 主なタスク 成功のコツ
1 2 週間 Axe/Lighthouse で自動診断 → 人力レビュー 影響度 × 工数で優先度スコア化
2 1 か月 コードレベル修正(上記10ポイント) 修正 → デプロイ → 再検証を CI/CD に組み込む
3 3 か月〜 デザイナー・編集者ガイドライン整備/社内勉強会 KPI に「アクセシビリティ不具合ゼロ」を設定

今すぐできる一歩

アクセシビリティは「あと付けのコスト」ではなく、ROIを最短で高めるUX改善そのものです。まずは「色のコントラスト」と「フォームエラー表示」の2点だけでも、今日チェックしてみませんか? ほんの小さな修正が、ユーザーの離脱を防ぎ、検索順位やブランドの信頼性を引き上げます。

📄おすすめチェックリスト

CSV形式の「アクセシビリティAAA アップグレード・チェックリスト」をご用意しました。今回紹介した10ポイントを “やる/やらない” で判定し、担当・期限・優先度を一枚で管理できるフォーマットです。ダウンロード後にExelやスプレットシートで自社基準へ書き換えれば、そのままスプリント計画に落とし込めます!





KOHIMOTOではWebアクセシビリティの診断から AAA 対応まで、クライアントと伴走してサポートしています。自社サイトの改善をご検討中でしたら、お気軽にご相談ください✨

編集者:tacot

大学卒業後、デジタルマーケティング会社に入社しメディア広告営業やウェブサイトのディレクションを担当。前職の経験を活かしウェブディレクターをしながらWeb制作業界にまつわるコンテンツを執筆中。

監修者:Miki Kohinata

早稲田大学出身。学生時代、将来独立することを決めエンジニアの道へ。就職したIT企業で藤本と運命的に出会いKOHIMOTO設立。目指すのは人の心に寄り添えるエンジニア。人生のテーマソングはWeekend by 5lack。