MENU
CLOSE
Web3・DAO Edit : 2025.10.06 Update : 2025.10.15
DAOとは何か?分散型自律組織の仕組み・活用事例

DAOとは何か?分散型自律組織の仕組み・活用事例

DAOというキーワードが注目される背景

近年、ブロックチェーンを活用した新しい組織運営の形として「DAO(分散型自律組織)」が注目を集めています。Web3や暗号資産の文脈で語られることが多いDAOですが、単なる技術トレンドではなく、企業の組織設計や地域社会のガバナンスのあり方にも影響を与える概念です。

特にIT企業の社員や経営層にとっては、DAOを理解することは単なる知識の習得に留まらず、自社の新規事業のヒント働き方のアップデートに直結します。この記事では、DAOの基本から具体事例、そしてビジネスへの応用可能性までをわかりやすく整理します。


DAOとは何か ― 基本的な定義と仕組み

DAO(Decentralized Autonomous Organization)とは、直訳すると 「分散型自律組織」 を意味します。従来の組織運営が社長や取締役会といった中央の意思決定機関に依存していたのに対し、DAOはスマートコントラクト(自動実行されるプログラム) とトークン保有者による意思決定によって運営されます。


つまり、DAOは以下のような特徴を持ちます。

  • 中央管理者がいない
  • ルールはブロックチェーン上に記録され透明性が高い
  • 参加者が投票によって運営を決める

これにより「信頼できるリーダー」に依存せず、「信頼できるコード」と「合意形成の仕組み」によって組織が機能するのです。


ここまでの話を聞いて個人的には、上司部下なく会社の情報はすべてオープンのダイヤモンドメディアという会社の経営の本を少し思い出しました。



DAOの3つの要素(分散型・自律型・組織)

DAOを理解するには、「Decentralized」「Autonomous」「Organization」の3つの要素に分けて考えるのが有効です。


① 分散型(Decentralized)

中央の権限者を置かず、意思決定を分散させる。具体的な実装事例は以下です。


Uniswap DAO

https://app.uniswap.org/

世界最大級の分散型取引所。誰か1人の社長が運営するのではなく、UNIトークンを保有する人々が「手数料率を変える」「新しい機能を導入する」といった提案に投票して決めます。
→ 実際には、数百万ドル単位の資金配分がグローバルなコミュニティの投票で決まっている。


MakerDAO

https://makerdao.com/ja/

ステーブルコインDAIを発行するプロジェクト。金利や担保比率などの金融パラメータを、MKRトークン保有者の投票で決めています。
→ 銀行の理事会に相当する機能を「世界中のMKRホルダー」が担っている。


② 自律型(Autonomous)

ルールがスマートコントラクトに組み込まれ、条件を満たせば自動で実行される。具体的な実装事例は以下です。


投票と資金移動の自動化

例えば「提案Aに賛成票が51%以上集まったら、自動でトレジャリー(資金プール)から指定アドレスに100 ETH送金」というルールをスマートコントラクトで設定できます。
→ 人間の手続きや承認作業を介さず、プログラムで必ず実行される。


Gitcoin Grants

https://grants.gitcoin.co/

オープンソース開発者に寄付を配分する仕組み。Quadratic Fundingという仕組みで、投票と寄付が組み合わさり「少額でも多くの人に支持されているプロジェクト」が自動的に多くの資金を受け取るよう計算される。
→ 公平性を担保しつつ、完全にコードに基づいた資金分配。


③ 組織(Organization)

DAOは単なる仕組みではなく、人が集まり活動する組織体でもある。具体的な実装事例は以下です。


Friends with Benefits (FWB DAO)

https://www.fwb.help/

クリエイターや音楽・アート関係者が参加するDAO。FWBトークンを保有している人だけがコミュニティに参加でき、イベント開催やコラボ企画をDAOガバナンスで決定。
→ 会社というより、トークンを会員証とする新しいタイプのクラブ。


The LAO

https://www.thelao.io/

ベンチャー投資DAO。メンバーが出資し、スタートアップ投資を投票で決める。法律的にはアメリカの有限責任会社(LLC)として登録されており、DAOと従来の法人を組み合わせた形。
→ 「法的組織」と「ブロックチェーン組織」をミックスする先進例。


DAOがもたらすメリットと可能性

DAOの注目ポイントは、その仕組みが既存の組織課題を解決する可能性を持っていることです。


  • 透明性の担保:資金の流れや投票履歴がブロックチェーンに記録される。
  • 参加型ガバナンス:社員・ユーザー・地域住民など多様なステークホルダーが意思決定に参加可能。
  • グローバル性:国境を越えて参加できるため、国際的なチーム形成に適する。

特にIT企業にとっては、DAOは 「プロジェクト単位の新しいコラボレーションモデル」 として活用できる可能性があります。


DAOの課題とリスク

一方でDAOには未解決の課題も存在します。


  • 法的整備の不足:国によってはDAOを法人として認めていない。
  • ガバナンスの偏り:トークンを多く持つ人に権限が集中する可能性。
  • セキュリティリスク:コードにバグがあると資金流出が起きる。

特に企業としてDAOに関わる場合、法的責任は誰が負うのかという論点は避けて通れません。


DAOと企業・地域コミュニティとの接点

DAOの仕組みは、企業のプロジェクト管理や地域コミュニティの運営にも応用できます。


企業内DAO的運営

新規事業や研究開発で「少人数チームが予算をDAO的に管理する」仕組みを導入すれば、透明性とスピード感を両立可能。


地域通貨とDAO

地域通貨プロジェクト(例:Eumo、さるぼぼコイン)と組み合わせれば、資金の流れや信用の可視化が進み、住民主体のまちづくりを強化できる。


DAOが切り開く未来と、今後の関わり方

DAOとは、単なるブロックチェーン上の仕組みではなく、中央管理者に依存しない組織の新しい形です。


  1. 分散型 → 意思決定の民主化
  2. 自律型 → コードによる自動実行
  3. 組織 → 実際に人が集まり活動する枠組み

これらが融合することで、企業や地域社会に新しい運営モデルをもたらします。DAOを理解することは今後のキャリアやビジネス戦略に直結する知識になります。





KOHIMOTOでは、デジタルクリエイティブを軸にサービス展開をしています。もし課題があれば、まずは小さな導線から一緒に整えていきましょう。



またKOHIMOTO LABOのXアカウントでは、WebサイトのTipsやAI共創の最新動向や魅力を紹介しています。Web・AI・ブロックチェーンの交差点で起きてる事や考察も発信予定なので、よければのぞいてみてください🧪

編集者:コウ

年間20万人が訪れるKOHIMOTO Laboの 広報・編集・AIアシスタント⛄を担当しています。興味→Web・AI・ソーシャル・映画・読書|テクノロジー × ヒューマニティのpositiveな未来🌍

監修者:Yuka Fujimoto

Webディレクター / デザイナー。美大在学中に、画面ひとつで世界中の人と繋がれるWebの可能性やデザインへ興味を持つ。インターンを経て就職したIT企業で実務経験を積む。肉より魚派🐟