『悪人』吉田修一

忙しくて結構時間がかかったけど、『悪人』を最近読み終わった。
たぶんまたすぐに話も感情も忘れちゃうから、読み終わった直後の感想を殴り書きしています。

この小説を読んで思ったことは、善人も悪人になり得るし、運良く悪人にならずにすんでるけど心は悪人の人もいる。
本当のことは当事者と関係者とそれを体験した人のみにあるんじゃないか、と思った。
その体験を共有したもの同士であっても感じ方は違くて、物事は常に多面性を持っているから、一つの視点のみをみて善悪を判断するのはとても難しい。

小説の話からは外れるけど、事実が曲がることは日常生活にも多々あると思う。
そこまで正直楽しくない食事会も、笑顔で写真撮って日記に楽しかったって書いたら、それを読んだ人は”楽しかった”と思う。
そして自分にとってもそれが過去を振り返る材料だとしたら、それは誰にとっても”楽しかった”事になる。
世の中で起こってるニュースも、回ってる情報も多面的な情報の中のひとつを切り取ってるに過ぎないと思うと、なにが果たして真実なのか?って思う。

楽しい事がばかりがいい事だとは全く思ってなくて、人生において、悔しいとか、悲しいとか、切ないとか、言葉ではくくれないような感情こそが大切だと思う。
だいたい何でもすぐ忘れちゃうけど、せっかく生きてるんだから忘れちゃっても自分の中に起こる些細な感情とか大切にして、自分に嘘はつきたくないな、って思った。

私が私の見てる世界を生きてるように、人間1人1人がそれぞれ個々のリアルのみを生きてるんだなぁ。当たり前のことだけど。
命ある限りそれはとても貴重な事だと思う。せっかく体験できるリアルを楽しもうって気持ちで過ごしたい。