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Edit : 2025.02.04 Update : 2025.02.05
自我が個人じゃなくてM1に宿る「漫才過剰考察」を読んだ感想①

自我が個人じゃなくてM1に宿る「漫才過剰考察」を読んだ感想①

こちらの記事は、こひもとの読書録#6-1の内容の一部を抜粋し編集を施したものです。よろしければ、以下より全編を聞くことができます。



令和ロマンだけど超リアリスト

ゆかうちらめっちゃコアなファンとかではないけど、お笑い好きだよね。
みき去年何回か一緒に観に行ったりしたよね。吉本のやつとか。
ゆかそうだね。ただめっちゃ漫才とかをいっぱい見てるってわけじゃないから、そういう目線でちょっと感想を話していきたいなって。
みき自分が見る側の視点で思ってた事とかを、くるまがもっとなんかすごい詳しくプロの目線から考察してるっていうのが面白かった。
ゆかそうだね。最初の前書きがこんなことを思ってたんだって印象的だった。

なんか自分の人生はあんまり目立ったこととかなくて、幸せとは感じなかった。でも不幸とも思えない、努力もしていない途半端な人生って言ってて、ただM1だけは本気でやるように運命に仕組まれたみたいなこと言っていて。
みきくるまに対してそんな中途半端というか、むしろすごい人だなって思いながら見てたけど、自分はそう思ってなくなかったんだなっていうの意外だった。
ゆかね。漫才過剰考察って言ってる本だから、漫才についてすごい書いてあるんだけど、こんなにも何かに執着できる人生ってすごい羨ましいなって思った。
みき確かに。
ゆかでも執着してるんだけど、優勝して泣いたりとかはしなくて超現実主義者だなって思った。令和ロマンしかり若い人たちって結構なんか自分の人生に主観的っていうかはメタ視点みたいなのを持ってる人が多いって思った。
みき確かに、若い人の方がそうなのかね。
ゆか一番最初の優勝の時、「優勝して涙ひとつ流さないなんてかわいくない」みたいな、生意気みたいに言われたりしてたと思うけど、なんかネットとかでいろんな情報を浴びてるから、それがもたらす自分の人生の影響とかがわかって、それを脳内処理してから感情や行動が伴っていくのかなと思って。だから優勝直後はそれが脳内処理しきれなくて、勝っちゃった、終わっちゃった。うそだろ?みたいなのが正直な感想だったみたいな。なんか優勝してしまったという戸惑い、と本にも書いてあったけど、めっちゃ新しい感想だし、「優勝したら嬉しいっしょ」っていうのってある種世間の決めつけではあるから。
みき確かに勝つことは目指してたかもしれないけど、この本読んでたら本当に1回目の優勝は自分でも意外だったんだなっていうのが読み取れるから、本当に正直な感想だったんだろうなって思うよね。
ゆかうん。なんかちょっと話がこの本からそれるけど、優勝した後、YouTubeのMETA TAXIっていうラジオでラッパーのkid fresinoとのトークしてて、令和ロマンって出囃子がフレシノの曲らしく。
みきへーそうなんだ。
ゆかなんか、優勝しても仕事をセーブするし、吉本の僕でお金稼ぎしたい人たちは僕に無理強いしない方がいいと思うって話してて、なんか普通になんか優勝してもまったり過ごしたいと思ってるとか、すごい今時だなっておもって。
みきうん、いまどきだけど尖ってもいるw
ゆか自分の時間を削ってまでやることを選んでる。
みきその仕事とか増えたりとかいい面もあると思うけど、じゃあ人生の中の幸せとかも同時に考えたりしてそうだね。
ゆかうん、いいことだよね。

初めて決勝行く前のインタビューみたいなもの本に載ってたんだけど、そのインタビューで「ファイナリスト経験がある人は決勝の空気はこうだから、このボケよりこっちがいいんじゃないかみたいに考えられるかもしれないけど、実際にあの場所を僕達は知らない、だから自分たちに関して何かするっていうよりも、他者だったり全体的なことだったりを予測する方が正しい努力かなと勝手に思って、過去の回を見返してスマホでWikipediaを見ながらこの点差がこうだった、なんでここまで爆発が起きなかったんだろうとか考えてますね。」みたいに言ってて。なんかその、適切な努力みたいな方向を定めるのがすごい長けてるなって思った。
みき確かに。努力してがむしゃらにやることもかっこいいし、昔の芸人さんはそういうのも美学ってされてそうだけど。もちろんそんな時間とか使わないで、ちゃんと適切に目標に向かえるならその方がいいよねw
ゆかなんか目的に対する努力の嗅覚がめっちゃ鋭い。
みき自分たちが出たことないから仕上げるの自体もできないっていうのとか、読んでて確かにそうだなって納得した。
ゆか逆に2回目の決勝は1回目の王者だから、結構面白くなくてもお客さんが笑ってくれちゃうから、2回目の前は自分たちの中でこれは面白くないなって切り捨てるシビアさを持つように考えてたらしい。
みきそれすごすぎる。自分だったらただただ喜びそう。調子いいかもって(笑)
ゆかね。(笑)マユリカのラジオで中谷がくるまはお客さんの雰囲気とか、他の人のネタのどこで笑うかとかを見て、同じAのネタでもAの中のAパターンとBパターンとか分岐があるらしくてすごいと思った。
みきなんか本当にすごすぎる。芸人さんのラジオとか聴いてるとみんな令和ロマンは天才で、もはやそれがネタみたいになってるよね(笑)
ゆか後輩だけじゃなくて先輩とかセカンドに出てる人とかも、みんなくるまに聞けばいいみたいな(笑)

自我がM1に宿るってやば

ゆかくるま自身は、優勝したいって言うより、最高の決勝にしたいって思ってたから、自分のためっていうか、M1のためにめっちゃ動いたり考えたりしてて、で、なんかそれが結局優勝にもつながったりしてたけど、優勝してもなんかその最高の大会じゃないって思って次の年も出てたりしてて、最初優勝した感想。

なんで自分にこんなに怒る?優勝したのにM1に。達成感より不満が勝つとはそれだけM1の成功を切に願っていたんだな。僕は自我が個人ではなくM1に宿ってしまっていたんだ。

自我が個人じゃなくてM1に宿るってやばって思って(笑)
みきヤバすぎる(笑)
ゆかでもこれってすごい社会と個人のつながりみたいなのにも通ずるものがあるって、いろんな人が思ったと思うんだけど、私も思って。

M1のためにやれることって利他ではあるとおもうんだけど、それが利己にもつながるじゃないけど、個人の充実とか達成つながるっていうが体現されてるって思った。
みきたしかに、でもそれをM1っていう競争の舞台でやるってすごいな。
ゆかそうだよね。自分が誰かに勝たなきゃいけないところで、それを盛り上げるためには、他の漫才師の人にこうした方がもっと良くなるとか、自分の持てる限りのアドバイスをしてたらしい。エバースとかのラジオとか聞いてても、くるまがこのネタ面白いっていうならこのネタ面白いんか~と思ってやったとか話してて。
みきしかもそこでさ、ちゃんと本気で勝てると思うアドバイスをするっていうのが、すごい。
ゆかこないだなんかのポッドキャストで、何て言うんだっけ、寺にいる人。
みきお坊さん?
ゆかそう!
お坊さんがビジネスパーソンの悩みみたいなのに答えてるラジオがあって、自分は何のために働いているとか生きてるのか意味が見出せずに苦しむみたいなことってあるあるかなって思うんだけど、その利他と利己って対義語みたいに思えるけど、何か仏教の世界では=になっているって。

自分の生きる意味が見いだせなかったら、人や世界のために何かをすることで自分の生きる意味を見出せたりして、それが自分の人生を満たしたりとか、幸福につながるみたいな。だから仏教の中で利己と利他は対義語じゃなくて同義語だし、世界=自分になっていく感覚が幸せに通づるから「世のため人のため」とかを唱えたりするらしくて。

情けは人のためならずっていう言葉とかあったりするじゃん。それって現代で、情けをかけることは人のためにならないっていう意味でとらえられる事が多いんだけど、実はそういう意味の言葉じゃなくて、本当は、情け、つまり人に何かをすることって、人のためじゃなくて自分のためなんだよっていう意味らしくて、そういう教えとかを思い出した。(笑)
みき確かに、M1のためを思ってみんなに貢献したら、結果的に自分の優勝になった、から世界のためにとか、他者のためにとか、いろいろやってたりすることが、結果的に自分のためにもなったっていう。
ゆかうん。優勝するっていうのは、成果だけにフォーカスしてるかもしれないけど、その過程で夢中になってやったりとかもたぶん人生の面白味みたいなのを見いだせるのかなって思って、そういうつもりでくるまが何かをやってるわけではないと思うんだけど、そういう縮図みたいのを連想した。
みき確かに、また話がちょっと漫才とそれちゃうけど、投票とかもさ誰かに投票するっていう時に、多分みんな今自分が関係してる政策とかに投票したくなるたりとかすると思うんだけど、最近は何か自分じゃない人、自分と反対の人とかもいた時に、そういう人のこととかも考えて、もっとこの方が良くなるっていう風になるんだったら、自分がその立場になった時に、自分にとってもありがたいことになったりするんだろうなって思ったりしてた。
ゆかたしかに。えらい。(笑)
みきでもそういう事かも。くるまの動きは。
ゆか動きがね(笑)
みき動きはすごい見習うべきところがある。(笑)

さや香はかっこよかった。

みき1回目に優勝した時に嬉しくなかったくだりの中でさ、それまでが順番が喋くり漫才とかコント漫才とかが偏ってお笑いの教科書みたいなのを配ったような、この種類のお笑いだっていうのを見せてるような最終決戦のまでの流れだったのが、令ロとやーレンズでそのお笑いの教科書回収しますね、みたいな感じでいい感じだったところに、さや香が見たことないPDF配りだした表現してて面白かった。
し、この時のさやか見てた自分も「これ負けたかも」って思ったけど、あの時のさやかはめっちゃ格好良かったよねぇ。
ゆかわかる。やりたいことをやったのがかっこよかったよね。それに一晩たって冷静に考えたら見せ残めっちゃ面白かった気がした。
みき面白かった。でもそのみんなが取り残されてる感も含めて結果的に今もこうやって語り継がれてたりはするし(笑)
ゆかうん。面白かったし、確かにかっこよかった。


こひもと

みき+ゆか / KOHIMOTOというWebサイトをはじめとしたDigital Creativeの会社を営んでいます🤝IT企業出身のエンジニアとデザイナーで元同期。hiphopと本とお笑いが共通言語。