お金は本来、地域の中で「働く人・買う人・つくる人」をつなぐ血流のような存在です。けれど、現代の資本主義経済では、その血流が都市や大企業へ一方向に流れがちです。利益がそこへ吸い上げられる構造が続けば、富の分散は減り、普通の人の暮らしや地域活力は低下してしまいます。
こうした課題に対し、いま静かに注目を集めているのが「地域通貨」や「ポイント経済」です。地域内でお金を循環させる仕組みとして、全国で導入が進んでいます。
たとえば、地元の商店で使える通貨にすることで、住民が消費したお金がそのまま地域内の事業者に届き、また地域の中で次の消費に回っていきます。
たとえば、商店街で地域通貨を使うと、そのお金は店主→仕入先→職人→消費者と、地域内を何周もする。結果的に、同じ1万円でも「地域内での経済波及効果」は大きくなるのです。経済学的にはこれを「乗数効果」と呼びます。
地域通貨やポイント経済は、単に「通貨の代替」ではなく、選択肢を増やすインフラになりえます。 特定の条件(例:高齢者へのポイント付与、子育て支援など)で地域通貨を配布する施策は、いわばミニマムなベーシックインカム的要素を持ち、地域住民の購買活動を後押しします。
たとえば、ふるさと納税の返礼として地域通貨を提供することで、地域の店で使ってもらう。単なる寄付以上に、地域との経済的な関係性を築く導線になるのです。
Eumo(ユーモ)は、「共感にお金を流す」というユニークな思想で設計された地域通貨です。 円ベースで発行される電子マネーでありながら、送金時に「どのプロジェクトに共感しているか」を選ぶ機能があり、ユーザーの価値観に沿った経済行動が可能。
岐阜県飛騨地域で導入されている「さるぼぼコイン」は、換金時に手数料を設けることで、外に出にくい構造を持たせた地域通貨。
行政の支払いやふるさと納税の返礼にも活用されており、単なる決済ツールを超えて、地域政策と密接に連動しています。
結果として、住民が日常的に使うお金が「地域内で回る」設計が機能し始めています。
名古屋市が展開する「金シャチマネー」は、プレミアム付き商品券として発行され、市の政策と連動して運用されています。
電子商品券形式であるため、若年層にも受け入れられやすく、市民の購買行動を地域内に閉じ込める有効な仕組みです。
また、データのトラッキングも可能なため、施策のフィードバックループを作れる点も、行政側にとって大きな利点となっています。
岐阜県養老町の「養老Pay」は、紙とスマホアプリを組み合わせたハイブリッド型地域通貨です。 特に高齢者にも配慮された設計で、商店街などでも使いやすく、「現金に近い感覚」と「ポイントの可視化」を両立し、地域の日常生活の中で自然と使われる設計になっているのが特徴です。
どの地域通貨にも共通する成功要因があります。それは、「外に出にくい仕組み」と「使いたくなるデザイン」の両立です。
一方で、課題もあります。運営コストの負担、利用定着までの時間、そして電子通貨疲れと呼ばれるユーザー離れ。これらを乗り越えるためには、単なる金銭的メリットだけでなく、地域への共感や参加意識を育てる仕組みづくりが大事そうです。
地域通貨は、単なる決済インフラを超えて、「ローカルな富の再分配装置」として注目し始めています。
AIや自動化によって働き方が変わるこれからの社会では、地域や民間レベルでの分配モデルが重要になります。地域通貨は、グローバル資本主義とは異なるスケールで、持続可能な経済循環を実現するカギになりそうです。
地域通貨やポイント経済は、「お金の流れを変える」だけではありません。ローカル経済の未来は「共感」と「循環」から生まれるのではないでしょうか。
グローバルな効率化の時代だからこそ、未来の経済はGDPでは測れない価値をどう可視化し、循環させるかを考えていけるかに鍵がありそうだなと思いました。
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編集者:コウ
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