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ディレクションユーザビリティ Edit : 2025.09.09 Update : 2025.09.09
【Core Web Vitals 2.0入門】CLSより体感を左右するINPを最短で改善する方法

【Core Web Vitals 2.0入門】CLSより体感を左右するINPを最短で改善する方法

Core Web Vitals 2.0の全体像

Core Web Vitals(CWV)は現在、LCP(読み込み)/INP(応答性)/CLS(視覚安定性)の3指標です。2024年3月12日、INPが正式にCore Web Vitalsへ昇格し、FIDは廃止されました。つまり、クリックやタップなどの操作に対する“動くまで”の体感を、ページ全体のライフサイクルで評価する世界にアップデートされた──これが“2.0”の実態です。

推奨しきい値(p75)
LCP ≤ 2.5s/INP ≤ 200ms/CLS ≤ 0.1。評価は実ユーザーの75パーセンタイルで行います。

INPを最優先で見るべき理由

結論、Googleはどれか1つだけを加点最優先にしているわけではありません。ただし2.0ではINPが最注目。理由は3つです。

  1. UXの体感差が大きい:INPはページ内のすべてのインタラクション(クリック・タップ・キーボード・UI操作)の最も遅いものを代表値として評価。初回応答の一部しか見なかったFIDより、ユーザーの実感に直結。
  2. エコシステムの中心がINPへ:Chrome/PSI/GSCなど主要ツールがINP中心に切り替え。現場での“改善の主戦場”が移動。
  3. 改善の投下価値が高い:INP悪化は多くの場合、メインスレッドの長いタスクや重いイベントハンドラ、サードパーティ依存が原因。ここを直すと体感ビジネスKPI(CVR/直帰)に効く。

要するに「CLSを捨ててINP」ではなく、“まずINP、並行してLCPとCLS”が正解。これは優先度の話であり、軽視ではないということです。


INPの閾値と読み方(p75指標)

良好: ≤ 200ms / 要改善: >200ms〜≤500ms / 不良: >500ms。
判定は実ユーザーデータ(CrUX)のp75で、モバイル/デスクトップ別に評価します。


INPを悪化させる典型原因

  • Long Tasks:50ms超の処理が連続しUI応答をブロック
  • 巨大バンドル/同期JS:メインスレッドを専有
  • 重いイベントコールバック:複雑なDOM操作・再計算
  • サードパーティの多重実行:タグ管理の放置・発火条件の過多
  • 巨大DOM・未最適化リスト:仮想スクロール未対応
  • アニメーション負荷:長いフレーム(LoAF)の発生

犯人特定には、Chrome DevTools/PageSpeed Insightsの診断に加え、web-vitals(attribution build)+長フレームの観測(LoAF)が有効です。


優先度付き改善ロードマップ(4ステップ)

ステップ1.現状把握

GSCでURLグルーピングとp75傾向、PSIでフィールド×ラボの照合。web-vitals attributionで遅い操作の記録。

例:GSC Core Web Vitals/PageSpeed Insights/CrUX API/web-vitals(attribution)

ステップ1.主要改善(INP直下げ)

長いタスク分割、JSの遅延/条件読み込み、イベント委譲と軽量化、サードの棚卸し、アニメーション最適化、SSR/ストリーミング活用。

例:task分割・requestIdleCallback/Code-splitting/仮想スクロール/タグの発火条件見直し/transformopacity中心

ステップ3.LCP/CLSの同時ケア

LCPはヒーロー画像のpreloadやTTFB短縮、CLSは画像・広告枠のサイズ予約とフォント対策。

例:LCP:AVIF+<link rel="preload">/TTFB短縮(CDN/キャッシュ)
CLS:width/heightまたはaspect-ratio/FOIT/FOUT対策

ステップ4.

しきい値越えのアラート、ダッシュボード可視化、CIにINP回帰テストを組み込み。

例:Slack通知/PSI+CrUXの週次集計/主要テンプレートのパフォーマステスト

サイト種別の実装チェックリスト

ECサイト

  • カート/検索/フィルタ:イベントごとに処理を分割し、即時フィードバックUI(スケルトン/プログレス)を出す
  • タグ地獄回避:計測・広告タグは遅延+特定ページ限定
  • 画像戦略:ヒーローはpreload、一覧はloading="lazy"+正しいaspect-ratioでCLS防止

メディア(オウンドメディア/ニュース)

  • 長文テンプレート:目次や折りたたみはイベントを軽量化、SNS埋め込みはインターセクション発火で遅延
  • 広告:固定サイズ予約+遅延ロード
  • CDN最適化:TTFB短縮でLCPを底上げ

BtoB(資料請求・フォーム中心)

  • フォームUI:バリデーションの非同期化、即時レスポンスのトースト表示
  • LPのサード最適化:ヒートマップ/チャットはCV直前ページのみ
  • 軽量フォント:サブセット化+先読み、メトリクス調整でCLS抑制

よくある質問:INPを先に直すと、CVRは本当に上がりますか?

サイト特性に依存しますが、INPの大幅改善は「押しても反応しない」体感を解消し、回遊・完了率のボトルネックを取り除きます。特にカート操作やフォーム送信など収益直結のUIから着手するのが定石です。


まとめ

Core Web Vitals 2.0では、INPの改善が体感と回遊に直結します。
まずINPを中心に、並行してLCP/CLSを底上げし、p75のしきい値を安定クリアする状態を目指しましょう。改善は一度きりではなく、アラート/ダッシュボード/回帰テストまで含めて“運用”に組み込むと、数値はブレません。

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参考キーワード(編集時に削除可)

Core Web Vitals 2.0, INP 改善, LCP 最適化, CLS 対策, Long Tasks, 3rdパーティ最適化, web-vitals attribution, LoAF

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編集者:コウ

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